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アリクイのいんぼう 家守とミルクセーキと三文じゃない判|誰かの小さな変化の話

本の話
この記事は約3分で読めます

「いんぼう」と聞くと悪巧みを連想してしまいますが、判子屋さん=印房のことです。
アリクイがご主人という、判子屋さんのお話なのです。

ただし、動物が主人公のファンタジーというわけではなく、出てくるのは現代社会を生きる人たち。

人が変わっていくところ、その過程や気持ちの変化が描かれています。
なんだか少し元気が出ないという方や、具体的な言葉では言えないけれど、モヤモヤしたものを抱えている人に読んでほしい。
読み終えると自然とスッキリとしています。

 

どんな本かご紹介

 

作者は鳩見すたさん。
電撃文庫でも2作出していらっしゃる作家さん。
アリクイの~は、KADOKAWAのメディアワークス文庫から発売になっています。

アリクイのいんぼうシリーズの1冊目である、『家守とミルクセーキと三文じゃない判』には短編が4話が入っていました。

ジャンルとしては日常的なミステリー。

日常と言いつつも、少し非現実的な感じだったり、環境が特殊なので、ファンタジーとまでは言いませんが、夢中になってあっという間に読めてしまいます。
謎もちりばめ方も見事で真相が気になって一気に読んでしまうという側面も大きいです。
ミステリーが好きな方も、現代小説が好きな方も、どちらも等しく楽しめるお話だと思います。

アリクイのいんぼう 家守とミルクセーキと三文じゃない判|誰かの小さな変化の話

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1話目の主人公は私の夢って…?なキャリアウーマン

 

一話目はバリバリ働く女の子が主人公。
忙しいながらも仕事が大好きで、結婚や、もう少しゆとりのある別の会社へ転職ということなどはあまり考えていません。
「早く辞めたい」と繰り返す周りとのギャップに少し悩むことがあるという女の子です。

彼女が判子を買うきっかけになったのは、マンションの購入という大きな買い物のため。

判子は自分自身であるという、アリクイさんの言葉や彼女自身の気付きにはっとさせられるお話でした。

 

2話目は妻に先立たれたおじいさんが家を売ろうと決めた話

 

2つめの話は2年前に妻を亡くしたおじいちゃんが主人公。
よく物をなくしてしまう彼は、家の売却のために判子が必要になりますが、どこを探しても見つからずブチギレて新しい判子を作ることを決めます。

私はこのお話が1番好きで、折に触れ語られるおばあちゃんとの思い出話や、あいつはこういう所があった…と、おじいちゃんが反芻するシーンが、いちいちグッときます。

夫婦しかり、家族しかり、誰かを大切に思うこと・その思いの強さをこれでもかと突きつけてくる話でした。

鈴掛花枝。鈴を掛ける花の枝。

庭の梅の木を見るたび、私はその枝に鈴を掛けたい衝動に駆られた。
私がひとりで大噴火しても、庭で花枝がくすくす笑ってくれれば、いままでの暮らしと何も変わらない。そんな風に考えた。

特別、私が好きなのがこの部分。
ぜひここは、本を読みすすめ出てくる場面で味わって欲しいです。
さらりと何気なく描かれているのですが、とても胸を突かれます。

人の生死に関わる話である以上、どうしても泣きを誘うようなシーンもあるのですが、そうではない、日常のシーンでもめちゃくちゃに涙を誘われてしまい、途中から大方うるうるしつつ読んでいました。

 

3話目は諦めることについて沢山の知見が詰まった話

 

3つ目の話は音大を辞めてしまう女の子が主人公。
彼女は退学届に判を押すためにシャチハタ以外のハンコが必要になり、ハンコを作ろうとします。

個性的な人物の多いアリクイのいんぼうの中でも殊更ユニークな女の子で、全キャラクターの中で2番目に彼女が好きです。
(1番は、2話目に出てきた花江さん)

とっぴんぱらりのぎゃふん
ごうつくばりの乙女

といった、ちょっと面白い取り合わせの言語チョイスが素敵です。

このお話は、才能に関する話が面白いです。
才能がなかったから辞める…ということを、具体的にどういう風に思ったか説明する場面があります。

音大にいる人にはみんな“音楽の才能”があると思う、でも“プロになる才能”というのはまた別なんじゃないか、と。
例えばピアノ講師を続けている人は、ピアノを弾く才能とは別に、先生になる才能もある。
そういうもう一つの才能が何かを探そうと思う、と主人公は語ります。

何かを辞めること・諦めること。
ネガティブな面だけでなく、決断することや選ぶことの意味なんかが、様々な形で語られています。

 

4話目は新しくスタートするための話

 

4つ目の話は、新しく一緒に暮らし始める2つの家族の話です。
小学生と高校生の子供2人がメインのお話。

このお話だけは何をどう書いてもネタバレになりそうで怖いので、あまり詳しく説明できません。
主人公が子供ながらにめちゃくちゃ聡明でカチッとした語り口。そうそう、この本、語り手が各話の主人公なので、少しづつ印象が変わって楽しいんですよ。

高校生のお姉ちゃんがとても気持ちのいいキャラで、読んでいてとてもいい気分になりました。

ハンコのお話の流れで名前の漢字について話す場面があります。
この字にはこういう意味があるから、名前もこういう意味で付けたんじゃないかなというようなお話。
実際にお話したことがあるハンコ屋さんも漢字にすごく詳しかったので、ハンコ屋さんというのはこういう人が多いのか!?と驚きました。

 

さいごに

 

どのお話もハンコ屋さんの側面だけでなく、喫茶店としてもとても魅力的。
美味しそうなものがたくさん出てくるので、とってもお腹が空きます。

ミルフィーユに、ピザトースト、パンケーキ、ミルクセーキ…。
ぜひおやつを片手に読んでくださいね。

読後感がとてもいいので、疲れたあなたにとってもオススメです。

アリクイのいんぼう 家守とミルクセーキと三文じゃない判|誰かの小さな変化の話

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この記事を書いた人
まゆ(mau)

文房具や手帳、写真がすきです。

写真は専門学校に通って勉強していました。
(今は写真の仕事はしていませんが、元スタジオマンです)

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