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ニューヨークで考え中 ふふふと愉快な気持ちになる本

本の話
この記事は約3分で読めます

 

なぜ本を読むのか、ということを考えてみた。

 

賢くなりたい
感動したい
どこか違う世界に行きたい

 

私の場合は、何を読むにもこのどれかに当てはまりそう。
日々のごはんを作るためのレシピ本や、片づけや節約にまつわる本だって、「知識を得たい」という動機がある。
「知識を得たい」は、賢くなりたい、だ。

 

分類してあてはめていくことは簡単。
だけど、常に何かを求めて行動しているわけでもない。

 

上に書いたような色々全部をひっくるめて、大きな「楽しみ」が、本を手に取るとき・読むときにある。
(なんなら、本屋さんで雑誌の見出しを順に読んでいるだけで面白いし、平台に置かれた本たちの表紙を眺めているだけでかなり楽しい。)

これを求めている!という気持ちをさておき、ただ「楽しい」「面白い」から、という理由で何度も読む本がある。

近藤聡乃さんの「ニューヨークで考え中」
(2巻もでています。)

近藤さんは、アニメーションやドローイング、漫画、エッセイなども手掛けるアーティスト。
私は、❝絵を描く人❞という印象が強い。

近藤さんの漫画がとても好きで、とりわけこの、「ニューヨークで考え中」が大好き。
この漫画は、NYで生活する近藤さんの、その暮らしが4年目に差し掛かる年に連載がはじまった。(webメディア「マトグロッソ」での連載でした。)
NYでの日々を見開き1ページでつづるコミックエッセイだ。

 

当然NYでのあれやこれや…という内容なんですが、海外生活!の感が薄い。
少し離れたところに住む従姉妹から、今日 家の近くでこんなことがあったよと教えてもらうような、そんな他愛もない感じなのだ。

 

「十七年ゼミ」という、17年かけて成虫になる蝉を見に行く話や
ベーグル屋さんで「豆腐」のペーストを注文する時、日本語のように「とうふ」と平坦に発音しても全く通じないというエピソード
日本に帰国の際、日本製の画材は「気が利いている」と思った話

 

描かれるのは、NYで暮らしている近藤さんならでは、なエピソードが多い。
なのですごく不思議だけれど、全然、遠いこと、という気がしない。

 

思うに、私が漠然ともつ「なんかかっこいい、お洒落なアメリカの街」というNYのイメージには、かけらも現実感がない。
けれど、そこで暮らす近藤さんが見せてくれるNYには、一人一人に顔があり、考えがある、自分と変わらぬ大きさの人間がいる。

みんな変わらぬ暮らしがあって、いろんな事に感動したり不思議に思ったりしているんだなぁと、それは実感を伴った感想だ。

 

近藤さんの手書きの文字がまたよくて、親近感の理由はこれだろうか?と思ったりもする。
(すごくいいので、何度か真似て練習してみたことがある。全然習得できない…。)

 

特に好きなエピソードがある。
「お気に入りの靴」という、見知らぬ人にいきなり靴を褒められるという話だ。

言語の面白さがあったり、なるほど!というものより、日常度の高い話なのだが、読むたびに「ふっふふ」と愉快な気持ちになる。

特に好きなコマ
ニューヨークで考え中 好きなエピソード

夫に、他愛もないんだけどこれが大好きで…と話すと、自分も好きだ!と言うので驚いた。
しかも、トークショーに行った時、近藤さんが「人気のある話」としてあげられた中に、この話もあったのでまた驚いた。

マトグロッソの、この本を紹介するページで読むことができる。(考えてみれば、ピックアップされているのも好きな人がいるってことですよね…)
きっと1つ読んだら、他のも読んでしまうこと間違いなしな面白さなので、覗いてみて下さい。
☞ http://matogrosso.jp/newyorkde/newyorkde-08.html

突然ほめられる驚きってすっごくいいな…と思う。
褒められたいし、私も褒めてみたい。

スカートやかばんや、誰かの持ちものを、通りや電車の中で「わあ、素敵!」と思うことはあるけれど、それを伝えられたことって今まで一度もない。
急に明日できるようになるとも、残念だけど思えない。

だからこそ、いいなぁとにやにや出来るんだよな、とも思うから、まだまだこの話を見ては楽しい気持ちになろうと思う。
(好きな人が多いってことは、きっとみんな褒めたいし褒められたいんだよな…)

 

今は、掲載の場をマトグロッソからあき地へ移動されて、引き続き連載中。
2週に一度更新されています。

webでたくさんのエピソードを読めますが、本で読むのもいいです。
(近藤さんの書き文字、印刷されると味わいを増す気がする。)

 

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この記事を書いた人
まゆ(mau)

文房具や手帳、写真がすきです。

写真は専門学校に通って勉強していました。
(今は写真の仕事はしていませんが、元スタジオマンです)

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