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ゲームSF傑作選『スタートボタンを押してください』レビュー|めっちゃ面白かった!

本の話
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こんな面白そうな文庫を見逃していたなんて…!と悔しさすら感じた本。
東京創元SF文庫からでています。東京創元社、面白い本多いよね!

スタートボタンを押してください イメージ画像

ビデオゲームをモチーフにした短編ばかりを12編を収録したアンソロジー。
サクッと読める短いものも多く、ゲームをテーマにこんなに色々な描き方が出来るものかと、終始楽しかった。

原書はなんと26編も収められていたらしい。
日本語版には入らなかった14編もとても気になる…。

 

 

『スタートボタンを押してください』を知ったきっかけ

 

創元推理文庫の棚に、表紙のきれいな本があって、なんだこれー!と気になったのが、ショーニン・マグワイアの『不思議の国の少女たち』


(ちょっと待ってkindle版安っ! 399円て!? 面白かったです。YA好き・ミステリー好きにオススメ。)

 

初めて名前を聞く作家さんだったので、帰って調べていたらこのアンソロジーを見つけた。
ショーニン・マグワイアきっかけだったけど、収録作は、別作品のスピンオフだったので、ちょっと入り込めなかった。
元の作品を知っていたらもっと面白いだろうなぁと感じた。

 

好きだったものをいくつかご紹介

 

12編もあるので、気に入ったものをいくつか、あらすじ付きでご紹介します!
ファンタジー色の強いもの、ミステリー色の強いもの、SFっぽいもの…と結構テイストは様々でした。

 

『キャラクター選択』

 

これとっても好きだった!
続きがありそうな尾を引くラストで、もっともっと!!って気持ちが抑えられない。
短編だしな…という気持ちと、この人絶対超面白いの書けるでしょ!?という期待。

場面のいくつかがすごく頭に残ってる。作者はヒュー・ハウイー。

プレイされるゲームの内容はSPF。
夫が仕事に出ている間に、夫のはまっているゲームを勝手にプレイするのが妻の日課。
ある日、夫にそれを見つかって、「やってるとこ見せてよ!」と言われて、嫌々見られながらゲームをはじめて…。というストーリー。

自分とは全然違う遊び方をする妻に夫は戸惑うんだけど、面白いんですよ~~。
Undertaleが好きな人とか面白いんじゃないだろうか。

 

『アンダのゲーム』

 

作者 コリイ・ドクトロウ。これも面白かった…。

描かれるゲームシーンのわくわくと、画面のこちら側で起る葛藤。
アバターや強化したアイテムが売買されて、お金で❝強くなれる❞ことへ対する、主人公たちの意見にぐっとくる。
(私はあまり馴染みがないけど、オンラインゲームの世界ではよくある問題なのかな?)

オンラインゲームを熱心にやっている女の子が主人公。
強いギルドに属していることもあり、ゲーム内で困ることはなくなってきた。
ある日、同じギルドの仲間がとある❝クエスト❞を持ちかけてきて…。

強い主人公は、レベルの低い相手は難なく倒せるのだけれど、一体誰が・なぜ・そんなクエストを持ち掛けてくるのか?と疑問を抱いたときから、ゲームの世界は現実へと手を伸ばしてくる。

 

はじめて知った「テキストゲーム」を扱った話

 

テキストゲーム(この本で初めて知った)をテーマにした、『1アップ』 ホリー・ブラックと『時計仕掛けの兵隊』ケン・リュウ。
どちらも、ゲーム自体の進行が淡々としているのと裏腹に、画面のこっち側のドラマが奥深くて、その対比がよかった。

テキストゲームというのは、状況などが文章で示され、それを読んで、自分の行動もコマンドやテキストで入力する。
そうやって主人公を動かし、ゲームを進めていく。というシステムのゲーム。
ノベルゲームのように、選択肢が提示されてその中から選ぶ…という流れはなく、“何をするか”から自分で考えるのが大きな違い。

最初は、ん?と思ったんですが、実際にゲームをしている描写ですんなり理解できた。
その空間で何をするか、という自由さは、脱出ゲームに似ているなと思う。

 

『1アップ』は、レビュー見てても名前をあげている人が多かった作品なんですが、私も2番目くらいに好きな話になった!
友情で青春。
友人が作っていたゲーム自体が、自分たちの置かれている状況とそっくり…というはじまりからとてもわくわくした。

どれもこれも面白かった

 

いくつか、特に…というものをあげましたが、どれもすごく面白かった!というのが正直な気持ちです。

『救助よろ』デヴィッド・バー・カートリー
『リコイル!』ミッキー・二ールソン
なんかも印象に残ってるし、『火星の人』の作者アンディ・ウィアーの『ツウォリア』も、やっぱり面白くって、この人って本当発想の塊みたいな人だなぁと思った。

 

桜坂洋の『リスポーン』、唯一の日本人作家。
(『All You Need Is Kill』の人。こっちはSFループもの。)
これも面白かった。一番ゲームは描かれず、でもしっかりゲームっぽかった。

序文が最高すぎたんですよねぇ。『創世記』のゲームパロディ。
この本自体をこの文章ではじめるの、とっても粋だなと思いました。

 

どうも私の好みは、ファンタジーよりミステリー色が強いものが好きみたいです。
ゲームが大好きな人の感想も聞いてみたい。

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